シェーマス・スキャンロン

 

SS

 

(ロング・ウェット・グラス-雨にぬれた背高い草原)

 

 

 

濡れた路上に反響するタイヤの音はマントラだ。力強く、揺るぎない。ワイパーが緩徐なリズムで弧を描きながら周囲の暗黒の中に雨を脱ぎ捨てる。雨はゆっくり、絶え間なく降り続く。突風が吹き、僕に幼少の頃のゴールウェイを思い出させる。 満潮時になると、大西洋の風が破れた海藻の葉を遊歩道に吹き飛ばしていた。ベルファーストの死の奏でが僕を誘惑する前だ。

 

風が僕たちを煽り続ける。それでも僕たちは航海を続ける。滑らかな黒いアスファルトが僕たちの足もとで唄い続ける。僕たちは速度を落とし砂利道に入る。規則的だったリズムは今や壊れ、眩い光線が道沿いの風に乗ってゆらゆら前後に揺れている背高いアシの草を辿る。対向車のライトは見えない。

 

僕たちは空き地に停車する。ドアを開けると運転手が後ろを振り返り僕を見る。顔に降りかかる雨が僕を宥める。鋭い排気ガスも僕を癒す。月は黒く重い雲の影に隠れている。僕はトランクを開ける。

 

何時間も丸く横たわっていた後で、君は立つのもやっとだ。暫くしたらまっすぐ立てるようになる。僕は君の口からテープを剥がす。君は新鮮な空気を吸う。排気ガスを吸う。君は僕をじっと見る。君は請わない。泣く事もしない。君は勇ましい。

 

僕は君の腕を取り車道から離れる。車から、余人から離れ、君を奥地へと導く。僕の手中にある銃は地面を向いている。僕は立ち止まる。君の頰にキスする。銃口を向ける。僕は君のこめかみを二度撃つ。銃火の光冠が君を聖別する。君は倒れる。雨が素早く血を拭い落とす。僕は数発、空中に向かって撃つ。弾き出された弾丸が飛び散る。

 

僕は車へと戻る。君をそこに、雨に濡れた背高い草原に横たわらせたまま。

 

 

 

Translation: Yoko Ferguson

訳:ファーガソン陽子

 

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